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ドットの接続

第84回

SNS時代の社員をどう管理すべきか
~SNSを原因とする経営リスク~

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 西日本シティ銀行で発覚した、SNS「BeReal」を契機とする内部情報漏えい問題は、単なる一行員の不適切行為として片付けられるものではない。むしろ、SNSが日常生活に深く浸透した現代において、組織全体が抱える新たな経営リスクを象徴する事例と言える。同時期には、日本テレビ系制作会社の新人スタッフによる内部資料の投稿や、自治体職員による研修資料のSNS拡散なども問題化しており、社内情報が軽い感覚で外部に流出する事案が相次いでいる。

 

 これらの事例に共通するのは、投稿者に強い悪意が見られない点である。機密文書を意図的に暴露しようというより、「仲間内だけだから大丈夫」「すぐ消える投稿だから問題ない」という軽い認識が背景にある。しかし、SNSの世界に「限定公開」は事実上存在しない。スクリーンショットや保存、再投稿によって情報は瞬時に拡散し、一度流出した情報は完全に回収することができない。いわゆる「デジタルタトゥー」の問題である。

 

 特に今回の西日本シティ銀行の事案で注目すべきなのは、問題となった画像自体は一年以上前の投稿であり、最近のSNS不適切投稿問題の流れの中で過去にさかのぼって発掘されたという点だ。つまり、投稿時には問題視されなかった内容でも、後になって掘り起こされ、組織の信用問題へ発展する可能性があるのである。今後も同様の「発掘」は続くだろう。

 

 BeRealの「通知後すぐに投稿する」という仕組みが問題視されがちだが、本質はそこではない。実際には鍵付きアカウントや限定的なグループ内で投稿されるケースが多く、「仲間内だから安全」という心理的安心感こそが最大の危険要因である。SNSは本来、人間関係を維持し、承認を得るための場として機能する。そのため、利用者はネットワークから外れることを恐れ、同調圧力の中で「今この瞬間」を共有しようとする。BeRealの即時投稿性は、まさにその「脊髄反射的」行動を強く促進する仕組みと言える。

 

 問題は、この心理的圧力に対し、個人の注意力だけで対処することが極めて難しい点にある。リテラシー教育は重要だが、「気を付けましょう」という注意喚起だけでは限界がある。したがって、組織としては「元から断つ」発想が必要になる。SNS全般の利用禁止は現実的ではないが、少なくとも業務情報や職場内部に関する投稿については、一律に禁止する明確なルールを設けるべきである。個人が業務情報をSNSに発信する必然性は基本的に存在しないからだ。

 

 SNS時代の情報漏えいは、従来のような悪意ある内部犯行だけではない。むしろ、日常的なコミュニケーションの延長線上で、無自覚に発生する点に特徴がある。企業に求められているのは、単なるモラル教育ではなく、「SNSを使うこと」を前提とした現実的な情報管理体制への転換なのである。

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