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ドットの接続

第79回

AIとSNSが揺さぶる「創作」と「評価」の前提

SNSを見ていると、思わず保存したくなるような写真やイラストが次々と流れてきます。最近では、生成AIを使えば、文章を入力するだけでそれらしい画像を簡単に作れるようにもなりました。便利で楽しい一方で、「それって本当に自分の作品と言えるの?」という問題が、少しずつ表面化しています。

 

実際、ネットで拾った画像や、AIで作った画像がコンテストに応募され、最優秀賞などを受賞してしまうケースが話題になっています。応募した本人に悪意はなく、「よくある画像だと思った」「AIが作ったから問題ないと思った」という感覚だったのかもしれません。しかし後になって、元の画像が別に存在していたことが分かり、賞が取り消されるといった事態も起きています。参加者も主催者も後味の悪い結果になってしまうのは、残念な話です。

 

生成AIはとても便利な道具です。何度か指示を出して調整すれば、「自分で工夫した」という実感も得られます。ただ、AIがゼロから何かを生み出しているわけではなく、過去に人が作った膨大な作品を参考にして組み合わせている、という点は忘れてはいけません。手描きや写真と同じ感覚で評価してよいのかどうかは、まだ社会全体で答えが出ていない段階です。

 

こうしたトラブルの背景には、ルールのあいまいさもあります。コンテストや企画の多くが、「AIの使用は可か不可か」「参考にした画像はどこまで許されるのか」といった点を明確にしていません。その結果、「大丈夫だと思った」という認識のズレが生じ、問題が大きくなってしまうのです。

 

SNSや生成AIのおかげで、誰でも気軽に表現できる時代になりました。それ自体は、とても良いことです。ただ一方で、「これは誰の作品なのか」「自分はどこまで関わったのか」を少し立ち止まって考える必要もあります。便利さに流されすぎず、ほんの少し慎重になること。それが、これからのネット時代を安心して楽しむための、大切な心構えなのかもしれません。

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