
JEITAテープストレージ 専門委員会コラム
2025年06月
LTOは第10世代へ
テープ登場の歴史を振り返るには今から70年以上遡らなくてはなりませんが、1980年代は昔のスパイ映画によく出てくる「おぼん」のようなオープンリールテープが主流のところに手のひらサイズの1/2カートリッジ(CMT)やライブラリーが登場して一気に高密度化、大規模化が進み大いに盛り上がりました。1990年代になると、CMTの他にAITやDLT、SDLT、QIC、DATなど多種多様なテープ技術が市場を賑わせましたが、どれもが異なるテクノロジーやフォーマットであり、もちろんメディアの形状も異なったため継続性や互換性の観点で課題がありました。そのような状況の中で業界共通のオープンフォーマットを確立しようという動きがあり誕生したのがLTOです。2000年には各社から第1世代ドライブ LTO-1やテープ・カートリッジが出荷されました。LTOは発表当初から将来のロードマップが公開されていました。当初はLTO-8までであった将来計画が2017年にはLTO-12まで拡張され、今はLTO-14までになっています。カートリッジ容量もLTO-1は非圧縮時100GB(2.0:1圧縮時は200GB)でしたがLTO-14ではなんと予定ではありますが、非圧縮時576TB(圧縮時2.5:1 は1440TB)です。そして今年発表されたのが第10世代ドライブLTO-10になります。LTO-10はカートリッジ当たりの容量が非圧縮時30TB(2.5:1圧縮時は75TB)、非圧縮時最大400MB/秒の転送レート、従来のLTO同様データ暗号化やWrite Once Read Many(WORM)、LTFSに対応、RAO(Recommended Access Order)機能を使うと同じデータセグメントをリニアに取得する場合と比較してアクセス時間を最大80%以上改善する試験結果が出ています。一方、容量の増加技術と下位互換性はトレードオフになっているところがあり、LTO-10では下位互換はありません。しかし、LTO-10の最新技術や機能を最適な形でユーザーに享受いただくために、ハードウェアやソフトウェアベンダーには容易なデータ移行方法の開発やツールの提示、下位互換を必要としない新たなテープユースケースの提案、製品ライフサイクルへの考慮などが求められます。
JEITAではLTO発表25周年を記念して来たる10月1日に記念イベントの開催を予定しています。詳細は追ってJEITAホームページに掲載いたしますので皆様是非ご来場ください。
ご参考まで略語の補足を記載させていただきます。
・CMT (Cassette Magnetic Tape)
・AIT (Advanced Intelligent Tape)
・DLT (Digital Linear Tape)
・SDLT (Super DLT)
・QIC (Quarter Inch Cartridge)
・DAT (Digital Audio Tape)並びにDDS (Digital Data Storage)
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一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
https://home.jeita.or.jp/standardization/committee/tape_storage.html
本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願い致します。