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JEITAテープストレージ専門委員会コラム

2024年5月

進化することの意味

突然ですが、我々すなわち人類も含めて、地球上に生存している生命体は「同じまま」ではなく、「進化」することで過去から今を生き抜いています。これは、 ダーウィンによって唱えられた考え方です。しかしながら、「進化すること」の意味は頭では分かっているとは言え、実際の生活の中で生物の進化を目にする様な事は無いのではないでしょうか。 


一方、人類の創り出すテクノロジーに関しては、我々が見たり聞いたり使ったり できる物であり、実際に感じることが出来ます。例えば、鶏が進化して別の種類の鳥に進化したという様な事は、数十年レベルでの時間軸では実現することはありませんが、人類が作り出したテクノロジーは今や3年程度で進化を十分に感じることが出来る物になっています。これらの「進化」は身近にあふれ、「進化」の意味や大切さをむしろ忘れてしまっているようにさえ感じられます。 



インフォメーション・テクノロジ、つまりIT領域はその中で最も「進化」が早い分野と言えるのではないでしょうか。40年前のIT状況と言えばパーソナル・コンピュータの初期段階であり、出来ることは限られたドット数で描かれる画像とそれを動かすプログラム(マシン語)と8ビットのCPUやわずかなメモリー。これでもパソコンに出来る可能性に大きな夢を描いて解析などに使っていました。それからすべての部分が「進化」を遂げ、今や1K・4Kは当たり前の画質、様々な言語によるプログラミングやノーコードのような手法、64ビットのCPUと巨大なメモリー。40年間で同じ物とは思えないほど「進化」を続けています。また、ITの進化はデータ領域にも大きく影響しています。バイト(B)やキロバイト(KB)の単位は意味を無くし、テラバイト(TB)やペタバイト(PB)が意味を成す単位へと大きく変化し、ストレージもそれを支えるべく「進化」し続けています。 



ストレージのテクノロジーである、テープストレージも同様です。これまでのコラムでも触れられているように、テープストレージの容量や性能も進化を続けてきています。今では18TB(非圧縮時)容量・400MB/sの驚くほどの性能を発揮します。一方で、「進化」と引き換えになることもあります。今や8ビットのプログラムは動作できないでしょうし、古いマシン語も動作しません。進化するにはある意味で古い部分を捨ててでも前に進まなければならない事も含まれています。ペンギンは進化により飛ぶことを捨てて海中を泳ぐことを優先しました。


テープストレージも大容量・高性能を実現し続ける為に、媒体やヘッド・メカニズムを「進化」させています。最新世代のLTOは、これからも進化し続けるための変化が含まれています。この「進化」こそがテクノロジーを支える目的となり、テクノロジーが未来につながるという事の意味だと考えます。 

 


未来に向けて適応し続ける為には、絶えず「進化すること」を恐れずに研究・模索し続けることが必要だと考えます。GXやSXと言われている持続可能な地球の為に、テープストレージの「進化」が役立つ事を願っています。 





 

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会


https://home.jeita.or.jp/standardization/committee/tape_storage.html


本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

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