top of page

JEITAテープストレージ専門委員会コラム

2024年03月

テクノロジーの進化を支えるテープストレージのお話

昨年は生成AIが流行語大賞のトップテン入りを果たし、大きなブームになりました。

現在提供されている生成AIの主力はOpen-AIが提供している、Generative Pretrained Transformer(GPT)シリーズであり、現在は第4世代(GPT-4)がリリースされております。

GPTは2018年にリリースされた当時は大変話題となり、コード生成に使用する、ブログ記事作成支援に使用するなど、様々な実験的な試みが行われておりました。

その後、GPTは3世代目のGPT-3から飛躍的に精度が向上し、問合せ対応やマニュアル支援などの一部の実業務に生成AIが使われ始めております。

精度向上の主な理由には学習に使用するパラメータと学習データの増加があり、第2世代から第3世代へはパラメータ数で約100倍、学習データは10倍程度増加しており、今後世代を経るごとに更なる学習データの需要増が見込まれております。

また、GPTを含む生成AIは現在、GAFAM等のクラウドサービスベンダから提供されており、主に、インターネット上のデータを収集したデータセットを学習データとして使用し、質問回答をしておりますが、今後は、多業種、様々な業務に適用する為、企業の非公開データも学習データとして用いられるようになっていくことが考えられ、このため安全に大容量な学習データの保管が課題となっていきます。

テープというと昔のイメージで速度が遅いという印象を持たれる方もいらっしゃられるかもしれませんが、現在のLTO(Linear Tape-Open)テープでは最新世代のLTO-9で非圧縮400MB/s(フルハイト・ドライブの場合)とSSDやHDDと比較しても遜色無い性能となっております。

さらに近年では、大容量/高速といった特徴を生かし単にバックアップだけでなく色々な用途に使用されております。

例を挙げますと、SSDやHDDとテープストレージを組み合わせて階層化した、階層型ストレージ管理(HSM)といった使われ方で、CERN(欧州原子核研究機構)(*)をはじめとする研究機関等のスーパーコンピュータ向けのストレージとして使用されており、また、クラウドストレージのデファクトスタンダードAPIであるS3 APIに対応した、クラウドストレージと同じ操作感で使用可能なテープアプライアンス製品等もリリースされております。

テクノロジーの進化に合わせて、テープストレージの技術、利用方法も常に進化しております。

今後生成AI等によるデータ量の増加によりテープストレージが様々なシーンで縁の下の力持ちとして活用されるシーンが増えてくると思います。テープストレージの活躍と進化はまだまだ続きます。今後の動向にも注目していきましょう。

*出展:CERN TAPE ARCHIVE CTA (cern.ch)



 

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会


https://home.jeita.or.jp/standardization/committee/tape_storage.html


本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

bottom of page