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JEITAテープストレージ専門委員会コラム

2024年02月

テープストレージによる長期データ保管に対する期待

映像放送業界向けのInterBEE 2023においては様々な業界にわたる150名以上の方々がブースにお越しいただき、テープストレージ業界に対する激励に加えてフィードバックをいただきました。その中で数多くいただいたご意見として、保管データの長期化への対応や、保有しているデータの移行について課題をお持ちと伺いました。映像コンテンツを資産として捉えている業界共通の課題であるようで、扱うデータの特性に合わせてクラウドストレージ、RAIDシステムを含むハードディスク、光メディア、テープストレージを適材適所でお使いになっているとのことでした。

自社管理を含むオンプレミス環境においてはいわゆるサーバーとストレージのようなハードウェアと管理ソフトウェアでシステムが構築されており、ハードウェアの装置寿命やソフトウェアのベンダーサポート切れを迎える前に、適切にシステムとデータを移行させる必要があります。LTO-6テープストレージで長期保管したシステムや、販売停止が予定されている光メディアを使用したシステムなど、今後の長期保管データの移行先をどうするかについて悩まれているようでした。長期保管を考えているけどまだ決めかねている、そもそも長期保管が必要なのか、と率直に話されている方もいらっしゃいました。

データをアマゾンWebサービス(AWS)、Google Cloud、Microsoft Azureなどのパブリッククラウドに移行して長期保管データをオンライン化するという選択もあります。昨今においてはテープストレージからクラウドにデータ移行するということもあると聞きます。扱うコンテンツデータ量が大きいと、もしかしたらこれらのパブリッククラウドはコストが掛かりすぎるかもしれず、長期保管するコンテンツに対して取捨選択やデータ加工によりサイズを小さくする必要があるかもしれません。

長期保管コンテンツのデータサイズが非常に大きい場合は、データの移行先として最新世代のテープストレージは合理的な選択です。テープストレージの最新世代LTO-9は18TB、エンタープライズ向けTS1170では50TBのデータ保管をサポートしており、LTO-6(2.5TB)のように10年ほど前に構築した長期保管データをコンパクトにまとめることができます。

長期保管データをどのように管理するかはデータを保管するときに決めておきたい項目です。なぜならば、長期保管のデータこそ後世の人にとってはどのデータを取っておくべきかの取捨選択が難しいためです。あらかじめ長期保管データに対する保管期限、重要度を定めておき、データ移行時はその決まりに従ってデータ移行をするのが望ましいです。長期保管するときはどのようなシステムとするか、数年後のデータ移行も考慮に入れた投資になりそうです。結局のところデータをどう扱うかは組織及び組織に属するデータ管理者によることになり、その管理者が責任をもつことになります。長期保管データを扱う管理者にとっては頭が痛い問題ですが、日々増大する長期保管すべきデータを、14世代576TBまでロードマップ公開されて容量が拡大していくテープストレージに保管しておき時間を稼ぐというのも一つの手かもしれません。

長期保管データの管理者に選ばれる選択肢の1つとして、LTOを始めとするテープストレージはますます進化していく未来を有しています。



 

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会


https://home.jeita.or.jp/standardization/committee/tape_storage.html


本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

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