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JEITAテープストレージ専門委員会コラム

2024年01月

ハイブリッドクラウド時代のテープソリューション

ビジネスにおけるデータ量の増加にともない、ストレージソリューションの要求や選択肢はますます多様化しています。多くの企業がクラウドへの移行を進めていますが、全てのデータをクラウドに保存することが現実的でないケースもあります。特に、セキュリティや規制の面から、クラウドへの完全移行が難しい場合もあるようです。一方、オンプレミスストレージは、セキュリティやデータの統制面で優れており、特に機密性の高いデータや法的規制が適用されるデータの保管に適しています。 


また、クラウドの料金体系は一般に従量課金制であり、データの増加に伴いコストが予想外に高くなることがあります。このようなコストの不確実性は、長期的なアーカイブデータの保管において問題となる可能性があります。 


このような背景から、オンプレミスとクラウドを組み合わせた、ハイブリッドクラウドのアプローチが注目されています。ハイブリッドクラウドは、オンプレミスのセキュリティとコストの確実性、クラウドの柔軟性とスケーラビリティといった、両者のもつメリットを組み合わせた最適なストレージソリューションを提供します。 


一方で、異なる環境間におけるデータの一貫性の担保、セキュリティの確保、ストレージの間でのデータの移動や統合など、運用面においては複雑化する傾向があり、専門的な知識と管理が必要になることがあります。 


上記の課題への対処として、ハイブリッドクラウドに適したデータ統合基盤を導入し、オンプレミスやクラウドなど、複数のプラットフォームにまたがるストレージを一元的に管理することが考えられます。 


また、アーカイブの運用や、データのバックアップおよび復旧のプロセスがシンプルであること、スケーラビリティに優れていることのほか、運用・保守が自社内で完結でき、外部の専門家やサポートエンジニアに依存しない運用体制の構築も重要です。 


近年では、オンプレミス環境下に置かれ、AWS S3 互換のインタフェースで操作可能なテープライブラリといった、新たなテープソリューションも注目を集めています。将来的には、このようなクラウドとの親和性の高いオンプレミスソリューションを、データ統合基盤と組み合わせることで、オンプレミスとクラウド双方のデータ統合を容易にするといった発展も期待されます。 


 

ハイブリッドクラウドによるデータ統合ソリューションは、現在もベンダー企業を中心に新たなソリューションが生み出されています。今後もより多くのユースケースやインタフェースがサポートされ、多様なストレージニーズに応える新たなテープソリューションが登場することが予想されます。 



 

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会


https://home.jeita.or.jp/standardization/committee/tape_storage.html


本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

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