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JEITAテープストレージ専門委員会コラム

2022年01月

大切な情報資産を後世へ引き継いでいくためには

読者の皆様は『光ファイリングシステム』をご存じでしょうか?


20~30年前に企業で使用されていた「光ディスク/光磁気ディスク」を記憶メディアとする文書管理システムの名称です。


最近ではほぼ耳にしなくなってしまいましたが、その当時はさまざまなベンダーからシステムが提供されており、企業の文書管理用途の大容量データ保存システムとして普及していました。



しかし、文書管理システムで扱われる電子データは、パソコンの進化とネットワークの普及に伴い、独自仕様のシステムに組み込まれた光ディスク/光磁気ディスクから、ファイルサーバーなどへの保管に変わっていきました。やがて光ファイリングシステムは製造中止となり、現在は保守サポートもほぼ終了しております。


さらに、保存されているデータ形式が機種ごとに異なっていることが多く、互換性が無いという問題が残りました。



保守サポートも終了してしまった光ファイリングシステムに保存されているデータを読み出し可能な状態で継承していくためには、様々なOSでサポートされているTIFFやPDF等のファイル形式に変換して、新たなメディアにデータ移行を行う必要があります。 このように『現在のシステムとの互換が無く、保守サポートも終了してしまったシステムに取り残されてしまったデータ』でも捨てることが出来なければ、何らかの方法でデータを引き継いでいかなければなりません。


企業は、保有する大切なデータを『情報資産』として位置付け、常に正しく読み出せる状態にして長期保存を継続していくことで、長い年月を経ても貴重な情報資産を後世へ伝承し、業務での再利用、そしてそのデータの販売といったビジネスなどへの展開など、さまざまな利活用の機会を創出する資産として価値を高めることが可能になります。



そこで、大容量のデータ資産を長期保存していくためには、低コストで信頼性の高いメディアを有効に活用してシステム化していく必要がありますが、ハードディスク中心のシステムではデータ保存のトータルコスト(TCO)、消費電力やCO2排出量などが課題になってしまうため、長期保存にはハードディスクシステムなどのオンラインストレージに比べ、記憶容量あたりのコスト・体積・消費電力などの面で優れているテープストレージの活用が有効です。



2022年のテープストレージ市場は、昨年に発表されましたLTO-9製品の本格的な市場投入が見込まれております。


LTO-9テープメディアは1巻当たり非圧縮18TB、2.5倍圧縮時45TBの大容量になりますので、単位面積当たりの保存効率が格段に向上します。さらに、LTOはハードディスクとの比較でCO2排出量、消費電力とも大幅に削減されるため、環境負荷も低減します。



セキュリティー面では、エアギャップ(物理的にオフラインを実現)を確立した状態でデータを保存可能で、一度書き込んだデータを消去・変更出来ない追記型記憶方式のWORM(Write Once Read Many)メディアはデータ改竄防止に有効です。また、テープメディアの紛失や盗難に遭った場合でもデータの流出を防止する暗号化機能が備わっており、サイバー攻撃やウイルス感染、想定外の事故によるデータの改竄や漏洩リスクから情報資産を安心・安全に守ることが出来ます。



このような有益な特長を活かし、テープストレージは情報資産の長期保存に最適なメディアとして注目され、今まで使われていなかった分野にも新たな使用機会が拡大していくことでしょう。



 

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会


https://home.jeita.or.jp/standardization/committee/tape_storage.html


本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

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