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JEITAテープストレージ専門委員会コラム

2021年04月

磁気の力

磁石や磁気と言うものは皆様の身近にありますが、改めて以下の様な問いかけに対してどのような答えを想像されるでしょうか?


問1.身近なもので最大の磁石は何でしょう?問2.身近なもので実用的な最小の磁石は何でしょう?


我々人類を含む全ての生命体は、実は磁気の中で生きています。我々を取り巻くあらゆる場所に磁石や磁気は存在するのです、と言われたとすると皆様はどう感じられるでしょうか。なるほど、それはそうだと感じられる方もおられれば、そんなに磁気は身近には無いと感じられる方もいらっしゃると思います。普段の生活の中で、磁石や磁気を意識することは少ないと思います。問1の答えは、「地球」そのものです。地球自身が巨大な磁石の様な働きをしています。地球は磁石として磁気を帯びています。磁力線を宇宙空間に向けて放出しています。この磁力線は、実は我々生命体と大きな関係にあります。これらに関する研究文献などを見ると、約41億年前に地球は磁気を帯び磁力線を放出したそうです。この磁力線により太陽風の影響を防ぐことが出来た事で、地球上の生命体が繁栄出来る基礎を作り上げたと言われています。巨大な磁石(磁力)が生命の基盤を支えているという事になります。我々人類は、この地球の磁力を有効に利用しています。例えば、羅針盤の発見により大航海時代が切り開かれ、地球の隅々まで船で行けるようになりました。人だけではなく、物やそれに伴う文明・文化を広げる事が出来、現在の様な繁栄を築き上げました。磁石が南北を指し示すという特性を実にうまく利用しています。また、エネルギー系の分野でも磁気は大きな役割を果たしています。モータは磁力を巧みに使い様々な動力源として人類の文明を支えています。巨大な発電モータから、自動車、おもちゃなどの組み込みなどの領域にまでモータ駆動力は使われています。これ以外にも、磁力を発する磁石は身近なところで人類の生活を支えています。


・掲示物などを止める小さな磁石(取り外しが簡単で、ピンより安全)


・体に貼って健康増進と言うものもありました


・タブレットとキーボードを接続する部分に磁石を使う事で、簡単にカバーが装着できるような仕組み


これ以外にも、現在の人類の生活基盤を支えるITには磁気を使っている大切なものもあります。そうですね、磁気記憶装置と呼ばれた装置です。今はストレージと呼ばれています。ストレージは大きく2つに分かれます。磁気ディスク装置と磁気テープ装置です。これらの装置で使われている磁石はとても小さいです。目で見ても分からない大きさです。LTOテープ装置で使われているものは「ナノメータ」単位の大きさです。問2の答えはストレージで使われている磁石です。この小さい磁石がデジタルデータを書き込み、保存、読み出しという事で使われています。磁石は永久磁石と言われるように、一度磁化したらそれを維持する事が出来ます。また、大きな磁力を与えると書き換えることも可能です。この性質を利用して、磁気記憶装置は情報を記録し、そして保持・保存する事が出来ます。ITシステムにおける磁気記憶装置は、データを書き込み・読み込みを行うばかりでなく、情報を保持・保存する事が出来る事も重要な役割です。更に、磁気テープはデータを媒体と言う形で保管出来、データの保持にエネルギーを使わない理想的なデバイスと言えます。今から41億年前に巨大な磁力が生成され、人類の発展に大きく寄与してきた磁力は、磁気記憶装置と言う形で今後もIT社会の形成や継続、そして未来へ人類の財産を残す役割を果たすことが出来ると信じています。皆さんの周りにある磁石や磁力の力をもう一度見直してみて頂きたいとおもいます。


更に、我々の生活を豊かにしてくれる音楽。それを聞くために大きな役割を果たしてきたのも、磁石です。1970年代以降オーディオ用のオープンリール・テープやコンパクト・カセットテープ、更にMDも磁気を利用しているデバイスでした。21世紀の現在では、メモリデバイスに主役の座を渡してはいますが、私個人では今でも仕事の後や休日に私を音楽で癒してくれる大切なデバイスはカセットテープです。40年前のカセットテープから、あの頃の切ない音楽が聞こえています。この先もずっと使い続けるつもりです。そうです磁石は長持ちですから。


今後もDXの推進と共に更にデジタル化されていく社会のデータ保全を支える最終的な拠りどころとして、磁気テープストレージが重要な役割を担うものと私たちは考えています。


 

*一部展示内容の閲覧は無料来場登録後、ログインしていただく必要があります。

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会


http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292

本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

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