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JEITAテープストレージ専門委員会コラム

2021年01月

ゲーム機とテープストレージのデータ転送速度

2020年11月、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)からコンシューマ向けゲーム機PlayStation 5が発売されました。名称のとおりコンシューマ向けゲーム機PlayStationの5世代目にあたります。内蔵ストレージにSSDを採用し、Ultra HD Blu-rayディスクドライブを搭載するモデルと、光学ドライブ非搭載のモデルが販売されています。



これまで販売されていたコンシューマ向けゲーム機で、CD-ROMなど光学ドライブを採用しているものはゲームの合間に必ずロード時間がありました。また昔のコンピュータでゲームを遊ぶ場合、ゲームデータを格納した磁気テープから数十分かけてロードしていたそうです。このように、ロードに時間がかかるのはメディアからのデータ転送速度が影響しているためです。



では、最近の磁気テープでのデータ転送速度はどのくらいなのでしょうか。



エンタープライズ向けに供給されているテープストレージのデータ転送速度は360MB/s(LTO 8)です。これはHDDやArchival Discといった他のエンタープライズ向けストレージと遜色ない速度であり、コンシューマ向けのBlu-ray 12倍速と比較すると6倍以上の速さです。テープは「速度が遅い」と思われがちですが、遅いのはデータへのアクセス速度のみで、データの転送速度は速いのです。



テープストレージのデータ転送速度を高速化している技術として、LTOテープドライブで採用されているリニア・サーペンタイン方式があります。 リニア・サーペンタイン方式とは、テープの長手方向に沿って、直線的にデータを書き込む方式です。テープの始端から終端に向かってトラックにデータを書き込み、終端に達すると次のトラックへ移動し、終端から始端に向かって書き込みます。この動作を繰り返し、ジグザグにデータを記録していきます。 リニア・サーペンタイン方式でのデータ転送速度は、「テープ走行速度×線記録密度×ヘッドチャネル数」の積に比例します。テープストレージは線記録密度とヘッドチャネル数の増加によりデータ転送速度を向上させてきました。 線記録密度はテープ幅約12.7mmの中にあるトラック数で表されます。トラック数は初期のLTOで約400-500本であったのが、LTO 8で6656本にまで向上しています。これは1mmあたり524本以上のトラックがある計算です。また、これほどの細いデータトラックへデータを読み書きするためには、ヘッドの正確なトレースを実現するための高度なサーボ技術も必要です。 ヘッドチャネル数を増やすと1回あたりのリード/ライトできるデータ量が増え、データ転送速度を高めることができます。たとえば、LTO 1は8チャネルでしたが、LTO 8では32チャネルまで4倍に増加しています。チャネル数を増加させるためにはヘッドの小型化が必要です。かつてテープストレージでは機械/巻線加工で製造されたヘッドを使用していましたが、半導体の製造プロセスと同様なプロセスで製造される薄膜ヘッドを採用し、ヘッドのさらなる小型化を実現しました。 このようにテープストレージでは、線記録密度とヘッドチャネル数を増加させるためのさまざまな技術を利用することで、データ転送速度を向上させてきています。



IDCの予測によると、2025年にはデータ生成量が全世界で175ZBにまで達すると言われています。このようなデータ爆発時代に膨大なデータを高速に記録するため、進化し続けるテープストレージに注目し活用していきましょう。


 

Inter BEE 2020 ONLINE


- 公開期間: 2020年11月18日(水)~2021年2月26日(金)


- 会場: Inter BEE Top Page  https://www.inter-bee.com/


- テープストレージ専門委員会 展示エリア1


https://www.inter-bee.com/ja/online/exhibition/detail/?id=780


- テープストレージ専門委員会 展示エリア2


https://www.inter-bee.com/ja/online/exhibition/detail/?id=782


 

*一部展示内容の閲覧は無料来場登録後、ログインしていただく必要があります。

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会


http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292

本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

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