2018年のホットなストレージ(後編)

 


Storage Magazine 2017年12月号より
ストレージメディア編集部

 

コンバージド・セカンダリストレージ

ハイパーコンバージェンスの領域がセカンダリストレージにまで拡大したのは、この技術の次のステップとしては自然なことだ。初めの頃製品として取り上げたのはほんの一握りのベンダーで、市場の立ち上がりはゆっくりしていた。だが、2018年にはコンバージド・セカンダリストレージ製品がより多く出され、より多くの話題を提供するものと思われる。

多くの企業がセカンダリストレージの重要性に注目し始めた。あまりにも多いプライマリストレージ容量の需要を調整するためだ。セカンダリストレージはプライマリストレージの容量を空けてくれる。ただし、アクセスされる可能性がありアーカイブすべきでないデータはプライマリストレージに残される。セカンダリストレージのおかげで企業は、古いデータやミッションクリティカルでないデータから継続して価値を引き出せるようになった。

コンバージド・セカンダリストレージは全てのセカンダリストレージのバックアップデータ、オブジェクト、ファイルを一つのプラットフォーム上で一元管理する。ハイパーコンバージド・ストレージについてよく言われる、効率性、使いやすさ、拡張性、生産性、という利点がコンバージド・セカンダリストレージにも同じく当てはまる。さらに、セカンダリストレージの可用性を高めるために、ベンダーは効率が良く、拡張性が高く、パブリッククラウドと統合可能なコンバージド・セカンダリストレージを提供し始めた。

コンバージド・ストレージのおかげで、新興ベンダーはライバルがひしめくデータ保護およびデータ管理の市場に入り込むことができた。例えば、Cohesityは2015年にセカンダリストレージにフォーカスした製品 DataPlatformをリリースした。Cohesityはセカンダリストレージに対する市場の最新の要求に追随すべく機能拡張を行っている。

2016年Cohesityは、クラウドをセカンダリストレージ・ティアとして確立する動向に乗り、DataPlatform Cloud Editionをリリースした。2017年前半にリリースされたCohesity OrionのDataProtectソフトウェアでは、NAS、ハイパーバイザのサポート、Amazon Simple Storage Service (S3)のグローバル重複排除などの機能が加わっている。

Taneja Group創立者のArun Tanejaは、Cohesity DataPlatform Virtual Editionについて「全てのセカンダリストレージ・アプリケーションのための一つのプラットフォームだ。ここが、このソリューションのユニークなところだ。Cohesityは、セカンダリストレージで実行されるあらゆる種類のセカンダリ・ワークロードにたいして、ハイパーコンバージドの原則を適用した。」と語る。

Cohesityのライバルたちのほとんどは、データ保護についてもっと保守的なアプローチをとっているが、そうでないベンダーも市場に参入してきている。例えば、RubrikはCloud Data Management Platformで、Cohesityと同じようなアプローチをしている。これは、スケールアウト型のセカンダリストレージ・クラスタで、ソフトウェアをバンドルした物理アプライアンスとして販売されている。新興のIgneous Systemsは、Igneous Hybrid Storage Cloudで、バックアップとアーカイブを単一のセカンダリストレージ・ティアで一元管理している。

Commvaultも2017年になって、セカンダリストレージに力を入れ始め、10月にはCommvault HyperScaleをリリースした。HyperScaleはCommvaultにとって初めてのデータ保護用スケールアウト型統合ハードウェア・アプライアンスで、CohesityやRubrikなどのベンダーに対して明らかな対抗製品である。コンバージド・セカンダリストレージは次を担う製品なのだろうか。

さらに多くのベンダーが参入し、さらに多くの注目がセカンダリストレージに集まることにより、コンバージド・セカンダリストレージは2018年のデータストレージの主要なトレンドとして大きな飛躍をとげるはずだ。

 

マルチクラウド

マルチクラウドは、業界エキスパートの興味をかきたてるモヤモヤとして形が定まらない技術用語である。クラウドを採用した企業が(クラウドの構成がハイブリッドかピュアかにかかわらず)これまで以上にクラウドに対して本当のITサービスを提供する機能を求めている状況で、マルチクラウドは2018年のホットな技術トレンドになろうとしている。

Taneja GroupのシニアアナリストJeff Katoは、非クラウドへの支出は基盤市場全体の半分以下になり、Amazon Web Services (AWS)は前年度比40%以上の成長を続け、年間の売上は150億ドルになるだろう、と言う。MicrosoftはOffice365のSaaSを含めると、これと同様の売上になると誇らしげに語る。

マルチクラウド・ストレージの利点を無視することはできない。異種クラウド間でのデータ移行、複数クラウド環境でのアプリケーションの移動、データ可用性とディザスタ・リカバリの向上、プライベートクラウド−パブリッククラウド間のデータサービス連携、などの機能が提供される。また、エンタープライズ・データサービスをより安定させ、アプリケーションっと計算リソースをそれらとコロケートできる。

「この領域はすごい速さで動いています。」とKatoは言う。

Taneja Groupによるマルチクラウド・ストレージの定義は、複数の異種クラウド環境間でプライマリ・データサービスを提供し、計算とアプリケーションがこれらのサービスとコロケートできる場所、である。このプライマリ・データストレージサービスは、AWS、Google Cloud Platform、Microsoft Azureなどの大手パブリック・クラウドベンダーを最低でも一つ以上サポートしなければならない。また、どんなものでもベンダー・ロックインが組み込まれたクラウド製品は、本当のマルチクラウド・ストレージ機能を提供するのに制限が出てくるだろう。

とはいうものの、マルチクラウド・ストレージはまだ特有の課題を抱えている。クラウドからデータを出し入れするのはオンプレミスのシステム間でデータを移動するのに比べてずっと複雑であり、異なるクラウドに保存されたデータを管理するには新しいアプローチが必要だ。

いくつかのベンダーは、すでにソフトウェア定義のストレージ(SDS)をベースにした、本物のマルチクラウド・プライマリストレージのコンセプトを提供している。Hedvig、Qumulo, Scality、SoftNAS、SwiftStackなどはそれらのベンダーの一部である。Scalityのマルチクラウド・ソフトウェアは、Amazon S3と互換性をもったオブジェクトストレージ上で作られているが、いくつかのファイル機能も提供している。SoftNASとQumuloのSDS製品はクラウドファイルに注力している。一方、Hedvigはブロック、ファイル、オブジェクトの3種類のストレージを提供している。SwiftStackはオブジェクト・ストレージのみだ。

「他のベンダーもどんどんこの領域に参入してきています。他のソフトウェア定義ベンダーがクラウドに直接来ない理由は何もない。バックアップ・ベンダーは彼らの技術を直接クラウドの中に置き始めています。もうひとつ私が注目しているのが、ハイパーコンバージド・ベンダーです。次に来るのは彼らです。Scale Computingはパブリッククラウドの中にソフトウェアを置くためにGoogleとの提携を発表しました。」Katoはこう語る。

Taneja Groupは自社が行った調査によって、ストレージ・ユーザーがクラウドに抱いている懸念の一つがベンダー・ロックインであることを突き止めた。これはまさに、ハードウェアが支配していた時代にユーザーが直面していたのと同じ問題である。真の異種・マルチクラウド製品とは、AWSやAzureなどの異なるパブリッククラウド環境間、またはパブリッククラウドとプライベートクラウド間でアプリケーションとデータが動作できることを意味する。

「ということで、もしAmazonでデータが作られたのであれば、そのデータは別のパブリッククラウドやプライベートクラウドからアクセスできるようになります。ユーザーは、クラウドがパブリックであろうがプライベートであろうが、異種クラウド間でデータを移動できなければなりません。」とKatoは語る。

マルチクラウドを提供していると主張するベンダーがいくつかあるが、実際はそうではない。彼らがやっているのは、クラウドへのティアリングか、近くに建てられたデータセンター同士からクラウドサービスを提供しているか、どちらかだ。どちらも下層で使われている技術は単一ベンダーのものだ。両端でVMware技術が使われているAWSは、このタイプの同種クラウド(つまり非マルチクラウド)製品の一例である。

 

NVMe over Fabric

パフォーマンスを増大し、レイテンシを低下させるNon-Volatile Memory Expressは、ホストコンピューターのPCI Expressバスを利用するSSDではすでにホットな技術トレンドになっている。2018年は、NVMe over Fabrics (NVMe-oF)の売上が伸び始め、データストレージの重要なトレンドの一つとなっていくはずだ。業界の複数のアナリストによると、2019年以降NVMe Over Fabricの特筆すべきデプロイメントが続くことになる。

2016年6月に登場したNVMe-oF 1.0の仕様は、主にコンピューターのPCI Expressバスでの使用のために設計されたNVMeプロトコルをベースにしている。NVMe-oFは、ホストコンピューターとターゲット・ストレージシステム間のデータ転送を加速するため、NVMe over Networkの利点を拡張することを目指している。最初のNVMe-oFトランスポートオプションには、コンバージドEthernet (RoCE)やファイバチャネル(NVMe-FC) 上で動作するRemote Direct Memory Access(RDMA)のオプションが含まれた。

NVMe市場の調査会社G2M Inc.の業務執行社員Mike Heumannはこう語る。「2016年当時NVMe-oFは地盤を作るために格闘していました。そして唯一存在感を示せた領域は、NVMe over RoCE を使ったMicrosoft Storage Spaces Directをベースにしたアプライアンスの市場だったのです。2017年は、Kaminario、Pure Storage、Western Digital’s Tegileなどの全てのオールフラッシュ・アレイベンダーがバックエンド・ファブリックとしてNVMe-oFを使うようになりました。」

NVMe-oFのホスト−ターゲット間の接続にはまだ仕掛かり中の宿題があるものの、Heumannはデプロイメントへの潜在的障害が緩和され大手ベンダーが参入することによって、導入数は伸びていくだろうと見ている。彼が注目するのは、例えば、CPUに高付加を掛ける作業をオフロードするNVMe-oFアクセラレータ付アダプターをアレイベンダーが取り上げ始めたことだ。NVM Express Inc.*訳註によるもうひとつの重要な進行中の開発は、既存のIPネットワーク上でNVMe-oFを使えるようにする新たなNVMe-TCP トランスポートだ。

「非常に多くの人たちが非常に大きな期待を寄せています。これによってNVMe over FabricsがEthernetの世界に今までよりずっと簡単にデプロイできるようになるんですから。TCPオプションによって、NVMe over RoCE.がデプロイされることに心理的抵抗感を抱いていたユーザーの市場を開くことになるでしょう。」Heumannはこう語る。

G2Mは、NVMe市場が2021年には600億ドルの規模になるだろうと予測している。売り上げの内訳は、SSD、アダプター、エンタープライズ・ストレージアレイ/アプライアンス、NVMeで使用するように設計されたSDSが内蔵されたエンタープライズ・サーバーなどである。G2Mの調査によれば、2019年にはほとんどのエンタープライズ・サーバーがNVMe対応になり、2020年には70%以上のオールフラッシュ・アレイがNVMeベースになるとしている。また、2021年にはNVMe-oFアダプターの出荷が150万枚を超え、そのうちの10%が「アクセラレータ付」になるだろう、と言う。

NVMe-oFのドライバーは未だメジャーなOS用に開発の最中だ。IDCのリサーチ・ディレクター、Eric Burgener は「Apeiron Data Systems、E8 Storage、Pavilion Data Systemsなどの新興のベンダーは多くの場合、NVMe-oFの機能を提供するために自社のアダプターやドライバーを使ってきた」、と言う。

「NVMe-oFベースの製品の当初の使用用途はリアルタイム・ビッグデータ解析アプリケーション用でした。IDCの予測では、2020年までにFortune 2000 企業の60%から70%が最低でも一つのリアルタイム・ビッグデータ解析を行うようになります。低レイテンシを必要とするある種のハイエンド・データベースや高負荷業務の統合を進めているベンダーもNVMe-oFに興味を示すかもしれません。」Burgenerはこう語る。

シスコシステムズでNVMe技術を担当する研究開発部門エンジニアJ Michel Metzはこう語る。「NVMe over Fabricsは登場するなりファイバチャネルに対して大きな伸びを示すでしょう。人々がこの技術になれてくれば、Ethernetベースのオプションの実装が増えることになるでしょう。」

 

訳註:NVMeの標準化を通じて、NVMeストレージの普及を目指す非営利団体。

TechTarge ストレージ・メディア・グループ編集部: James Alan Miller, Paul Crocetti, Garry Kranz, Sonia Lelii, Dave Raffo, Carol Sliwa, Erin Sullivan

 

 

 

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