2015年「ホット」なストレージ技術(前編)


 

あなたが2015年にデータセンターにどんな新しい技術が現れるだろうと考えているなら、本記事を読んでもらいたい。この12年間本誌は年末恒例の行事として、翌年データセンターの運用に大きな影響を与えると思われる6つほどのストレージ技術に焦点をあててきた。 何年かが過ぎるうちに、我々の記事は実用性重視の方向に大きく舵を切った。我々の取り上げるホットな技術は、できたてホヤホヤというよりは「新しめの」技術だ。我々は、すでに実績があり市場で入手可能な程度に、成熟したと思われる製品に焦点を絞りたいからだ。

2015年のホットな技術のリストには、
・エンタープライズクラス・全フラッシュアレイ
・フラッシュ・キャッシング
・ハイブリッド・ストレージアレイ
が名を連ねており、半導体がストレージシステムに与えた影響の大きさを物語っている。

その他、我々が取り上げたホットな技術は以下の通り:
・ストレージプロビジョニングと構成に革命をもたらすかもしれないVMware仮想ボリューム(VVOLs)
・手頃な価格で手っ取り早く構築できるクラウドベースの災害復旧(DR)
・サーバーをアレイに変身させるサーバーSAN


VMware仮想ボリューム(VVOL)

仮想ボリュームは2015年ホットなデータストレージ技術にピッタリなネタで、おそらく、最も待ち望まれていたストレージ技術や最も長く待たされたストレージ技術など他のリストにも十分エントリーする資格を持っている。ストレージのプロビジョニングで、LUNやNASのマウントポイントを不要にするものがあれば、とは誰もが考えることだろう。これこそまさに、VMwareとストレージアレイ・ベンダーがVVOLでできると断言していることであり、そのVVOLはまもなく市場に出るという。VVOLは、VMware vSphere 6ベータ版には含まれてはいたが、正式には2015年第1四半期に市場に出回るとされている。

VVOLは各仮想マシン(VM)に対し、スナップショット、レプリケーション、新プロビジョニングなどのデータストア・サービス用に専用のボリュームをストレージアレイ上に割り当てる。これにより、VMは自分自身のストレージサービスとストレージポリシーを持てるようになる。

VVOLは、VMware vStorage APIs for Array Integration (VAAI) およびvStorage APIs for Storage Awareness (VASA)の枠組みの上に構築されている。VAAIは、ハイパーバイザにストレージシステムに対してオフロード機能を提供させる。一方、VASAは、ハイパーバイザとアレイ間のやり取りを見えるようにする。VVOLはLUNやNASのマウントポイントを使う替わりに、VASAを通じて直接ストレージシステムとやりとりし、データストア、ストレージサービス、メタデータ機能を持ったストレージコンテナとして動作する。これらのコンテナは、個々のVMと連動するため、VVOLはストレージ管理の主要な単位をLUNからVMオブジェクトに変更している。

NetApp (FAS)、Hewlett-Packard (3PAR) 、Dell (EqualLogic)は、VMwareがこの技術を一般に公開すれば、すぐ自社のアレイにVVOL機能を付けると語っている。VMwareの主要株主であるEMCは当然この動きに対応し、ソフトウェア定義のストレージプラットフォームViPRでVVOLをサポートする予定だ。中小のベンダーもVVOL戦略を発表している。例えば、全フラッシュアレイ・ベンダーのSolidFireは、VVOLを使って全VMのストレージパフォーマンスを保証するクオリティ・オブ・サービスを展開する予定だ。

「ストレージを管理する人間であれば、会話の中にVVOLが入ってくるのが当然だ。大急ぎでこの技術に取り組まなきゃない。全ストレージベンダーがVVOL機能を持つべきだろう。VVOLは、LUNやファイル共有とまったく同じように、あって当たり前の機能になっていくだろう。」
ミネソタ州Stillwaterに本社を持つStorageIO社創設者兼シニアアドバイザーのGreg Schulzはこう語る。

VMセントリック・アレイのベンダーTintriやハイパーコンバージド・ベンダー、NutanixやSimpliVityは、最初からストレージのプロビジョン時のLUNやマウントポイントを使わないアーキテクチャーのシステム作りを行っている。VMwareのVirtual SAN (vSAN)ハイパーコンバージド・ソフトウェアは、次期バージョンでVVOL対応を行うようだ。しかし、レガシーのストレージシステムは、自社のアレイのスナップショット、レプリケーション、シンプロビジョニングなどのサービスをVVOLに対応させるために修正が必要になる。

「VVOLは個々のVMがストレージ機能を備えていく進化の過程において不可避の機能です。これはTintri社によって実証されVirtual SANや他社も取り入れた技術です。残念ながら、従来のアレイにVVOLを上乗せする方法や改造して組み込む方法は細かい部分でうまくいかないことが分かっています。」
マサチューセッツ州Hopkinton のTaneja GroupシニアアナリストMike Matchettはこう語る。

 

エンタープライズクラス・全フラッシュアレイ

ほとんどの大手ベンダーおよび新興ベンダーが、追加容量オプション、エンタープライズ・ストレージ機能、データ削減機能を自分たちの製品に加えた現在、パフォーマンスを向上させる全フラッシュアレイ(AFA)は、これまでよりさらに幅広い業務に適用される準備が整った。スナップショット、クローン、レプリケーションなどの機能は、AFAでは当たり前のものになった。これに加えて、インライン圧縮と重複排除の組み合わせ、フラッシュの価格低下によって、AFAはあらゆる業務用のストレージとして考えられるまでになった。

A&Pの名で有名なスーパーマーケットチェーンのGreat Atlantic & Pacific Tea Companyは、2014年半ばに寿命が来たディスクアレイの代替として、IBMのFlashSystem V840に長期投資を行った。A&P 情報サービス副社長Richard Angelilloによれば、同社ではV840上で基幹系アプリケーション用に複数のデータベースを走らせ、パフォーマンスの向上とデータセンター占有面積の減少を検証したいと考えているそうだ。A&Pは、IBMのインライン圧縮オプションを購入している。これは、40 TBの使用領域を200TBの使い勝手に変えてくれるツールだ。

基幹系アプリケーション用に複数のデータベースを走らせ、パフォーマンスの向上とデータセンター占有面積の減少を検証したいと考えているそうだ。A&Pは、IBMのインライン圧縮オプションを購入している。これは、40 TBの使用領域を200TBの使い勝手に変えてくれるツールだ。

「純粋なHDD(ハードディスク)アレイに対するAFAの価値は非常にはっきりしています。しかも、AFAを単一のアプリケーションのスピードを上げるためだけに購入するのではなく、複数のアプリケーションをそこに載せかえれば、より早く投資を回収できます。」
マサチュ−セッツ州Framinghamに本社を置くIDCストレージプラクティス部門リサーチディレクター、Eric Burgenerはメールでこのように書いてきた。Burgenerによれば、IDCではAFAが最終的にHDDを内蔵した従来のアレイに取って代わると予測している、と言う。

ニューヨークに本社を置く451 ResearchのシニアアナリストTim Stammersは、2018年までのAFA市場の複合年間成長率は42%、市場規模は34億ドルに達する、と言う。 2013年に451 Research社がInfoProサービスで、200社のストレージプロフェッショナルを対象に行った調査では、AFAを使っている、もしくは試験運転中と回答したのは、わずか8%だった。今年の調査では、その数字は11%まで上がっており、さらに19%が今後1年半以内にAFAを導入する予定だ、とStammersは語る。

AFAベンダーは、購入を検討しているユーザーは、GB当たりの単価だけでなく総所有コスト(TCO)やIOPS当たりの単価をも考慮すべきだ、と主張する。しかし、オレゴン州Beaverton のDragon Slayer Consulting社長、Marc Staimerは、「AFAが一般に受け入れられるには、ほぼHDDの価格帯までGB単価が落ちる必要がある。『重複排除と圧縮の魔法の力を大げさに宣伝』しているだけではAFAの普及はありえない。」という。

Taneja Groupの創設者兼コンサルティングアナリストのArun Tanejaは、全フラッシュアレイおよびハイブリッドシステムの敵は15,000回転HDDを搭載した従来型アレイだ、と言う。「もうHDDだけのアレイは買うべきではありません。今後これらは全部ハイブリッドか全フラッシュアレイに変わっていくからです。」

 

クラウドベースの災害復旧

災害復旧はITのプロジェクトの中でも、お金がかかり且つ重要なもののひとつだ。そのため、社内でその設備を持つ代わりにクラウドを使う方法は、ひときわ魅力的に映る。ユーザーが、バックアップなどでクラウドストレージに慣れてくるのに従って、クラウドを使ったデータ保護サービスの拡大を望むユーザー向けにクラウドベースのDR製品が急増している。

クラウドベースの災害復旧では、全データセットまたは全VMをクラウドにレプリケートする必要がある。これらのサービスは、クラウドストレージのアクセスにサーバー仮想化を使い、二次データセンターを効率的に作成する。これらのサービスは、サーバーのイメージと本番データを顧客のサイトからプロバイダーのクラウドにバックアップする機能を提供している。

 

 

パッケージ化されたDisaster Recovery as a Service (DRaaS)は、クラウドへのフェースオーバーがより簡単になっており、利用回数制のものよりも料金が安くなる可能性がある。 「災害復旧については、クラウドを使った方がTCO(総所有コスト)は安定するようです。
必要になるまで、(災害復旧用の)データは使いませんから。今話題になっているのは、クラウドの中の復旧のことです。もしあなたが仮想化環境を持ち、仮想マシンをバックアップしているのであれば、プライマリーサイトが利用できないときそのVMをクラウドにリストアすることができます。」Taneja GroupのMatchettはこう語る。
Matchettによれば、VMをクラウドに変換するツールや移行するツールが市場に出てきた、という。

「複雑なアプリケーション・アーキテクチャーが絡む場合はアプリケーション・ブループリントのレベルで動くツールもあります。」Matchettは言う。

テキサス州オースチンのStorage Strategies NowシニアアナリストJames Bagleyは、昨年はDRaaS製品の数が増えたが、それらは自動化、ネットワーク・レプリケーション、ハイパーバイザをクラウド内で稼働できるように変換する機能などを備えたハイエンド市場向けのものだと言う。
「既存の環境をそのままクラウドに持ち込むと、様々な問題が出てくるかも知れません。ハイパーバイザとネットワーク設定が違えば、たいていは何か起こると思うのがふつうですよね。」Bagleyは言う。

Dragon Slayer ConsultingのStaimerは、災害復旧を単なるデータの復旧ととらえずに、ユーザーはDRaaS製品の評価基軸を広げる必要があるという。
「データをただ単にマウントしているのではないんです。ユーザーとどのように接続しているのか?その製品はネットワーク・リカバリー用ユーザーアクセスを提供しているか?一時点で、顧客の何パーセントを処理できるのか、それはどれくらいの時間か?クラウドベースの災害復旧を始めようとしている人たちの多くが、自分たちが何を始めているのか、分かっていないのです。」

とはいえ、クラウドベースの災害復旧であれば、非常に小さい企業であっても予算内で、驚異的な目標復旧時間と目標復旧ポイントを提供することができる。

 

(後編に続く)

 

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