Storage Magazine翻訳記事

IOPSの評価基準

著者:Jon William Toigo
Storage Magazine 2012年1月号より


ディスク容量は、我々の大多数が慣れ親しんできたスマートな仕様である。しかし、パフォーマンスと消費電力について考える時がきたようだ。

 

Rob PeglarがXiotech(現在のXIO)にいた頃、肉屋が牛挽肉の大きな塊を処理するところを描いたスライド入りのPowerPoint資料を使ってよくプレゼンしたものだ。このぞっとしないイメージのおかげで、Peglarの論点は鮮烈に記憶に留められた。何年もの間、我々はグラムあたりいくら、という単純な計量で、つまり挽肉を買うのと同じ方法でストレージを購入してきたのだ。

 

数年前、ディスク・ドライブのメーカーにインタービューしたとき、私はディスクについてこれとは違うが、関連したある事実を知ることとなった。多くのディスク・ドライブ業界関係者が、自社のこれまでの売上の最も大きな部分が、「より早い」でも「より賢い」でもなく「より大きい」に基づいていると考えていた。ユーザーは容量が大きくなることこそが、最も重要な事だと思っていた。1TBのディスクは250GBのそれより高速なディスクより良いいものだったし、2TBのディスクは500GBのフラッシュ・ハードディスク高級ハイブリッド・モデルより稼ぎが良かった。

 

大きいことは良いことだ、という考え方は当然、ある種偏った感覚を生み出す。データ自体(そのファイルの内容、ビジネス価値、重要度、使用特性など)について全く知らないまま、データ・ストレージ管理者が気にするのは、もっぱらデータを保存する空きスペースをどこに見つけるか、という単純な問題だけだ。経済状況がより困難になるのにつれて、ベンダーは、従来から検討していた(気にも掛けていた)ディスクの賢さや転送速度の改善より、大量の匿名データを保存する製品に注力することにより購入者の歓心を買った。

 

Peglarにとって、これは近視眼的であり、ディスク・ドライブ市場における一種のサバイバル・ゲームだと考えた。彼の以前の雇い主も同じ結論にたどり着き、容量による製品の製造を中止し、容量とは全く異なる基準の製品に注力し始めた。消費電力あたりのIOPSである。XIOのストレージ・ブレード、Intelligent Storage Elementまたの名をHybrid ISE(公称20万IOPSを実現するために、低容量、高パフォーマンスのSASディスクとそれを補完する半導体フラッシュ・ストレージを組み合わせている)のターゲットは、大量のファイルストレージを探している普通のユーザーではない。もっと別の用途や基準でシステムを計画している人たちだ。もっと具体的に言うと、XIO社はアプリケーションに最高のパフォーマンスを可能な限り最小の消費電力で提供することを目指している。

 

電力のコストは上昇を続けている。つい先頃USA Todayに掲載された記事によると、全国の商用電力のコストは、この18ヶ月以内に約22%上がったそうだ。さらに、米国の中でも電力消費が大きい領域であるデーターセンターでは、電力の需要は電力回路の供給限度を超えている、という。これはまさに、電力の供給系統が情報時代の遙か以前に設計されたことを物語っている。それゆえ、あなたが状況の変化は本物であり、「グリーン」に行きたいと思っていようが、単純に電力の費用と可用性について日々悩んでいるのであろうと、「消費電力あたり」という基準はストレージ導入を検討する際にますます重要になりつつある。

 

このことは、効率的なストレージ・アーキテクチャーという面からも重要になってきている。IOPSを改善するためにディスク・スピンドルの数を増やしていくような戦略は、それがもたらす電力消費量を考えると、もはや採れないのは明らかだ。HP/3PARが40万+IOPSの高速ストレージを実現するためにやっていることを見て、私が笑ってしまったのは上記のような事情がある。沢山のディスクをショート・ストローキング*訳注1すれば速度は上がるが、消費電力量は決して無視できないほど跳ね上がるだろう。

 

より良いアプローチは、ディスクをフラッシュで補完し、ホットデータをアクセスが落ち着くまで一時的にフラッシュに移し、次に改めて書き込み要求をディスクに行う、というやり方だ。このような設計で作られているディスクは数少ない。もうひとつのアプローチは、全てのディスクを仮想化し、ストレージ仮想化ホストのDRAMを使って高速I/Oを実現する、DataCore SoftwareのSANsymphony-V流アプローチだ。これには我々が日々目にする「なりすまし」(例えば一流ベンダーのNAS製品のバックエンド・に極めて低速のストレージが使われているというような)が絡んでくる。速度を上げる手段として、NetAppのようなベンダーは書き込みを実際に行う前にひとまず受信するためにひたすら大量のメモリーを使う。書き込みはバックエンドの待ち行列に入れられ、彼らのRAID?WAFLシステムが実際はいかに遅いかということは隠蔽される。

 

消費電力あたりのIOPSは、消費電力あたりの容量という、現在その正当性を審議中の定理の系を持っている。これは2番目に重要な基準だ。グリーンが流行っていた頃、ストレージ・ベンダーは「ストレージのリドライビング」(低容量のディスクを抜いて大容量のディスクに置き換えることにより、同じ消費電力でより多くの容量を獲得する)と称して企業のストレージのグリーン化を奨励していた。これが新しいディスクに対応するために、通常「全取っ替え」になってしまう(ベンダーが彼らの戦略を宣伝するマーケティング資料には、慣習的にこの部分は見落とされている)事を別とすれば、この考え方は基本的には正しい。

 

ともあれ、論理的結論に素直に従うとき、物事は実現するものだ。私が「NAS・オン・ステロイド」と呼んでいるものがそれだ。2011年の後半、大量のニュースリリースが新製品について語った。テープライブラリーと、おそらくはフロント・エンドのディスク・キャッシュとネットワーク・ファイルシステムを使って共有ファイルとしてマウントできるようにサーバー上に展開された、リニア・テープ・ファイル・システム(LTFS)を組み合わせた製品だ。この設計によって、高密度のファイル・ストレージ(いくつも0がつくペタバイト)を、ライブラリの機種にもよるが、一枚のOAフロアタイルのスペースに極めて低い電源条件で提供できる。IBM、Spectra Logic、その他の会社がライブラリ一式のパーツを販売しているのに対して、Crossraods Systemsはディスク・キャッシュ、ファイルシステム、NASマウント機能を提供するアプライアンスStrongBoxをひっさげて、再びスポットライトが当たるところに躍り出てきた。

 

NAS・オン・ステロイドは、再度参照される率が低いデータを保持するファイル・レポジトリにとって、最適のIOPS毎ワット(消費電力あたりのIOPS)のソリューションである。たまに参照されたドキュメントが、World Wide Wait*訳注2と同じくらい遅いからといって、誰が気にするだろう?このファイルをダウンロードし、読むのにどれくらいの時間がかかり、いつそれを読み返す日がくるだろうか?

 

IOPS毎ワットは、業務の必要性と環境の現実を両立させるストレージの構築を求めている人にとっては、重要性を増している基準である。電力は安くなることはないだろう。

 

訳注1:できるだけ多くの「スピンドル」を使うことで、パフォーマンスを向上させようとするやり方。(詳しくはStorage Magazine 2010年6月号「注目されるソリッドステートストレージ」を参照)

 

訳注2:レスポンスが遅いWorld Wide Webに対する軽蔑語(悪口)。

 

 

著者略歴:Jon William ToigoはIT歴30年のベテラン。Toigo Partners InternationalのCEO兼主要執行役員、Data Management Instituteの会長でもある。

 

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